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低反発弾性フォームとは | ||
低反発弾性フォームとはどのようなものを言うのですか? | ||
軟質ウレタンフォームはバネの様な「弾性」と粘土やガムの様な「粘性」を併せ持つ「粘弾性フォーム」です。 低反発弾性フォームは低反発フォームとも言われますが、軟質ウレタンフォームの一種であり、特殊な分子構造に設計され、「弾性」を抑え「粘性」を上げたフォームで、ヒステリシスロス率(JIS K 6400-2))の大きい衝撃吸収性フォームの特性も有しております。 気泡が連通し、圧縮したのちに外力を取り除いた際、ゆっくりと元に戻る性質があり、一般フォームに比較して反発弾性率が15%程度以下(JIS K 6400-3) と非常に小さい特徴を有しているので、枕・寝具・椅子等に用いられる比較的柔らかいフォームは感触が良いばかりで無く、局部的な圧迫が少なく体圧が全体に分散されるので血流阻害や床擦れ防止に効果的として近年介護商品等にも需要拡大中ですが、ほかに形状記憶、衝撃吸収性能や制振性能等々を利用して車両分野や精密機器の梱包資材等々にも広く利用されています。 なお、この種のフォームは低温域で硬くなる性質がありますが、冬場など一般の生活水準にても硬さの変化が許容可能な分子設計となっています。 |
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低反発弾性フォームとはどのような組成のものを言うのですか? | |||
低反発弾性フォームは一般的なウレタンフォームと同様に、ポリオールとポリイソシアネ―トを主成分として発泡剤、整泡剤、触媒等を撹拌混合して発泡しますが、必要に応じて着色剤や難燃剤等の添加剤が使われる事もあります。 低反発弾性フォームの原料としてはポリオールの構造等に特徴があり、圧縮後にゆっくりとした復元性を持ち、エネルギー吸収性能を高めるために粘弾性的にポリウレタン樹脂組成を変性しています。 |
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衝撃吸収材としてシリコンやポリプロピレンを原料にした低反発素材等が知られていますが、低反発弾性フォームと言われる素材はポリウレタン樹脂を組成とした連通気泡の発泡体が一般的に呼ばれています。 一般にゴムやプラスチックに多量の油類を添加すると反発力が抑えられるので、この種の固体又は発泡体が制振材、衝撃吸収材として機器、靴底などに使用されているようです。しかしこれらは座席、寝具用のクッション用としては、硬すぎる、低反発性やゆっくり復元する性能が不足する、重い、さらに添加剤浸出による汚染や臭いがする等の欠点を生じることがあるので実用化はされていません。 このように、油類添加によると言うより、主としてポリウレタンの分子設計によって低反発性能を発揮するフォームとは大きく異なります。 従って、座席、寝具用途の「低反発弾性フォーム」は「低反発弾性ウレタンフォーム」の略称と思って頂いてほぼ間違い有りませんが、詳しくは製品品質表示でご確認ください。 |
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低反発弾性フォームにはどのような特徴があるのですか? | |||||||||||||||||||
低反発弾性フォームは軟質ウレタンフォームの1種なので、要求に応じて適切な物性や性能が広い範囲で発揮できます。 ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤、整泡剤、着色剤、その他 配合剤の組み合わせ、混合割合、製造条件等を選択する事により、いろいろの用途に必要な性能が提供できます。 すなわち、軽くて、衝撃吸収性、制振性、体圧分散性、吸音性、断熱性能等が良く、着色自由度が広い等の特長が発揮され、また、枕、敷布団、マットレス、椅子類等のクッション に使用すると、頭、首、腰、尻等の体の形や動きにフィットしながら、低反発フォームの形状が変化して体圧が局部に集中せずに分散するので、最近では快適・健康クッションとして使用されます。 |
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復元性 軟質ウレタンフォームは圧縮したのちに外力を除くと瞬時に復元しますが、低反発弾性フォームの場合、ゆっくりと元の状態に戻る性質があります。 しかし、復元スピードはフォームの種類により大きく変化するので御注意下さい。 復元性 |
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感温性 低反発弾性フォームは温度が高くなると柔らかくなり、低くなると硬さが高くなる性質がありますが、これを感温性と言っております。 低反発弾性フォームは一般フォームよりもこの性質が顕著に表れますが、感温性は通常時の硬さや圧縮後の戻り速度の大小の違いによっても差が生じるので御注意下さい。 また、温度変化により硬さ等の物性変化があり、また、裁断加工時などでは10℃以下になるとフォームが才断機によっては切れにくくなる事が有りますので、できるだけ10℃以上での加工をお勧めします。 感温性(例) |
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衝撃吸収性 低反発弾性フォーム上にゴルフボールを落下させるとゴルフボールの跳ね上がりは一般フォームや高弾性フォームよりもかなり小さくなります。 なお、低反発弾性フォームに鉄球を直接落下させた場合の衝撃吸収性についての実験例を 次に示します。 衝撃吸収性(例) 「衝撃吸収実験」(数値が低いほど衝撃吸収力の高さを示しています) *固定面に何も置かない状態で、15cm の高さから200g の鉄を落下させると 2000G 以上の衝撃力があります。 低反発弾性フォーム 通常のウレタンフォーム 実験の説明 200gの鉄球を150mmの高さからフォーム表面に直接落下させたときの衝撃吸収性能を示したものです。 通常のウレタンフォームの衝撃加速度が38.8Gに対し低反発フォームは27.3Gで、リバウンドの回数も通常のウレタンフォームが3回に対し低反発フォームは0回です。衝撃を瞬時に吸収し、リバウンドも起こしません。 |
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体圧分散性 低反発弾性フォームは衝撃吸収性に優れ、一定荷重時のフォームの応力が荷重部分で分散され、局部的な圧力がかからないという性能をもっているので、圧縮荷重が緩和され、血流阻害や床擦れ防止に効果を発揮し、介護商品関係への展開等が進められています。 次に、低反発弾性フォーム及び一般フォームに寝た時の体圧分散性(圧力分布)を示します。 体圧分散性(例1) 体圧分散性(例2)
結果
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低反発弾性フォームにはどのような規格があるのですか? | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
低反発弾性フォームにはスラブ品及びモールド品があり、スラブ品の場合は色々な形状に 切り出しますが、モールド品の場合は枕及びマット類(寝具)等の成型品が一般的です。 規格は密度および硬さおよび反発弾性率が代表的な物性項目ですが、種類によっては、フォームの特殊性能を規格化する場合もあります。 なお、低反発弾性フォームは一般に、温度によって硬さが変化する性質(感温性)があり、また、他のフォームに類のない良好な感触や復元速度等は規格として表現し難いので、特に規格化をせずに用途に応じてユーザー各位殿との協議で定められる場合が多いようです。 |
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フォーム物性 低反発弾性フォームについて、フォーム物性(例)を示します。
注(1) 硬さ(JIS K 6400-2) 製品から50×380×380mmの試験片を切り出して垂直方向に始めの厚さの75%まで押し込んだ後、直ちに荷重を除き、再び直ちに始めの厚さの25%まで押し込み、静止後 20秒経過した時の荷重を読み取る。 (2) 反発弾性(JIS K 6400-3) 製品から50×100×100mm以上の試験片を切り出し、試験片の上面より500mmの 高さから直径16mm、質量16gの鋼球を落下させ、跳ね返った最高の高さを落下高さ (500mm)の百分率(パーセント)で表す。 (3) 圧縮たわみ試験 (JIS K 6400-2) 製品から50×380×380mmの試験片を切り出して垂直方向に始めの厚さの75%まで押し込んだ後、加圧板を戻して3〜5分間放置し、再び、加圧板を始めの厚さの75%まで押し込んだ後、同じ速さで加圧板を戻して、その時の履歴をグラフにする。 圧縮たわみ曲線(例) |
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特殊形状品 軟質ウレタンフォーム製品は他素材との複合あるいは特殊形状の裁断加工により、フォーム単独で は得がたい特殊性能のクッションを得る事も出来、種々の製品が検討されているので、商品を購入 する際には、軽く押してみるのも良いでしょう。 特殊形状裁断品(例) 以上のように低反発弾性フォームは他のプラスチックフォームや同類用途の繊維材(綿・フェルト |
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工場では低反発弾性フォームはどのような方法で製造するのですか? | ||
低反発弾性フォームは一般の軟質ウレタンフォームと同様な方法にて製造され、製造工場では「スラブ」又は「モールド」品の形で製造します。 「スラブ」品は、連続コンベアー上に混合原液を流し、通常、幅1〜2m、高さ0.2〜0.6m の断面が角 又はカマボコ状に連続発泡させた後、所定長さ(多くは1〜2m)の食パン形状に裁断する ものです。加工事業所にはこの形で出荷され、スラブ品からは色々な形状の製品を切り出し・加工する事が出来ます。 「モールド」品はプラスチック又は金属製の型(モールド)に原液を注入して発泡させた後、型から取り出すもので、複雑な形状の製品でも寸法精度良く大量に成形する事が出来ます。 |
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低反発弾性フォームはどのようなところに使われているのですか? | |||||||||||||||||||
低反発弾性フォームの主な用途は下記のようなものです。
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