京都議定書目標達成に向け「ノンフロン化宣言」
2010年8月を目標に住宅用吹付け硬質ウレタンフォームの発泡剤をノンフロン化(二酸化炭素換算145万トン/年削減)
日本ウレタン工業協会(東京都港区 会長:廣田 英幸)では、住宅分野で使用される建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームの発泡剤を、2010年8月を目標に、ノンフロン化することを宣言します。(平成22年1月26日)
建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームの発泡剤には、現在主としてHFCが用いられています。(京都議定書の非対象ガスでポスト京都において追加対象ガス見込み)
HFC(ハイドロフルオロカーボンいわゆる代替フロン)を発泡剤として使用した硬質ウレタンフォームは断熱効果が非常に大きく、エネルギー消費を大幅に削減することができ、この省エネ効果により、地球温暖化を抑制し、二酸化炭素(CO2)排出量の削減に貢献することができます。また、すでに国内では製造輸入が発泡剤として全廃されているHCFC代替品として有用な物質です。
一方で、高い温暖化係数を持つHFCは、地球温暖化防止のため、今後削減が必要な物質とされておりますより一層の地球温暖化対策に貢献するため、住宅用吹付け硬質ウレタンフォームの発泡剤のノンフロン化に向け、会員各社が技術開発に注力し、ようやく全会員のノンフロン発泡技術が構築されました。
こうした会員の技術努力の成果を受け、また京都議定書目標達成計画にある断熱材のノンフロン化推進をいち早く実現するため、日本ウレタン工業協会は、住宅分野における吹付け硬質ウレタンフォームに使用される発泡剤を2010年8月目標に、全てノンフロン化することを宣言します。
ノンフロン発泡品は代替フロン発泡品に比べ、熱伝導率が高くなるため、同じ性能を維持するためには厚さを増す必要があります。このため、設計仕様を変更する必要があり、周知期間を考慮して、目標時期を設定しました。
これにより、年間約1,500tのHFCを削減することができ、これは、二酸化炭素(CO2)換算で年間約145万tの削減効果となることから、地球温暖化対策に大きく寄与すると確信します。
<解説>
1.吹付け硬質ウレタンフォーム
硬質ウレタンフォームは、イソシアネート基(-NCO)を2個以上有するポリイソシアネートと水酸基(-OH)を2個以上有するポリオールを触媒、発泡剤、整泡剤などと一緒に混合し泡化反応と樹脂化反応を同時に行わせて得られる均一な樹脂発泡体であり、分子中にウレタン結合(~NHCOO~)を含み、高度に架橋した三次元網目構造をしています。
他の断熱材にはない自己接着性・シームレス性・現場施工性という優れた特長を活かし、吹付け発泡が可能となり、隙間のない連続した断熱層を作ることができます。
2.発泡剤
吹付け硬質ウレタンフォームを製造するときに泡を作るための発泡剤としてHFC(ハイドロフルオロカーボン)や水、二酸化炭素を使用する。
1)代替フロンHFC(ハイドロフルオロカーボン)
硬質ウレタンフォームの発泡剤としては、HFC-134a、HFC-245fa、HFC-365mfcが使用されており、樹脂化する際の発熱により気化し泡化します。
2)水
イソシアネートと水の反応によって二酸化炭素(CO2)が生成され、これが発泡ガスとなります。
3)二酸化炭素(CO2)
二酸化炭素(CO2)を超臨界または亜臨界ないし気体の状態で、原料に添加して発泡ガスとします。
3.断熱性能比較
種類 | 熱伝導率(工業会推奨設計値)W/(m・K) |
---|---|
A種1及び2 | 0.034 |
A種3 | 0.040 |
B種1及び2 | 0.026 |
B種:発泡剤としてフロン類(HFC)を用いたもの。
4.国の率先的取組
グリーン購入法の断熱材の判断基準においては、ノンフロン断熱材(HFCが使用されていないこと)を規定している。断熱材の使用に当たっては、公共建築工事標準仕様書等において、ノンフロン断熱材の使用に努めている。
本件に関するお問い合わせ先
ウレタンフォーム工業会
専務理事 大川 栄二
TEL 03-6402-1252
〒105-0003 東京都港区西新橋2-17-1(八雲ビル3F)
ウレタン原料工業会
専務理事 阿部 維夫
TEL 03-6809-1081
〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-8-25(日総第23ビル304)