低反発弾性フォームにはどのような規格があるのですか?
低反発弾性フォームにはスラブ品及びモールド品があり、スラブ品の場合は色々な形状に切り出しますが、モールド品の場合は枕及びマット類(寝具)等の成型品が一般的です。規格は密度および硬さおよび反発弾性率が代表的な物性項目ですが、種類によっては、フォームの特殊性能を規格化する場合もあります。なお、低反発弾性フォームは一般に、温度によって硬さが変化する性質(感温性)があり、また、他のフォームに類のない良好な感触や復元速度等は規格として表現し難いので、特に規格化をせずに用途に応じてユーザー各位殿との協議で定められる場合が多いようです。
フォーム物性低反発弾性フォームについて、フォーム物性(例)を示します。
フォーム物性 (例) | |||||||
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物性 | 低反発弾性フォーム | 一般フォーム | 高弾性フォーム | ||||
密度 | kg/m3 | 40 | 60 | 80 | 20 | 40 | 40 |
硬さ 40%(1) | N | 66 | 34 | 47 | 125 | 156 | 225 |
硬さ 25%(2) | N | 53 | 28 | 40 | 110 | 130 | 180 |
反発弾性(3) | % | 4 | 2 | 2 | 40 | 50 | 60 |
圧縮たわみ試験(4) ヒステリシスロス |
% | 56 | 61 | 68 | 44 | 42 | 34 |
注(1) 硬さ(JIS K 6400-2 A法):製品から50×380×380mmの試験片を切り出して、φ200mmの加圧板で垂直方向に始めの厚さの70%ひずみ量まで押し込む操作を3回繰り返した後、直ちに始めの厚さの40%ひずみ量まで押し込み、静止後30秒経過した時の荷重を読み取る。
(2) 硬さ(JIS K 6400-2 D法):製品から50×380×380mmの試験片を切り出して、φ200mmの加圧板で垂直方向に始めの厚さの75%ひずみ量まで押し込んだ後、直ちに荷重を除き、再び直ちに始めの厚さの25%ひずみ量まで押し込み、静止後20秒経過した時の荷重を読み取る。
(3) 反発弾性(JIS K 6400-3): 製品から50×100×100mm以上の試験片を切り出し、試験片の上面より500mmの高さから直径16mm、質量16gの鋼球を落下させ、跳ね返った最高の高さを落下高さ(500mm)の百分率(パーセント)で表す。
(4) 圧縮たわみ (JIS K 6400-2 B法):製品から50×380×380mmの試験片を切り出して、φ200mm加圧板で垂直方向に始めの厚さの75%のひずみ量まで押し込んだ後、加圧板を戻して3〜5分間放置し、再び加圧板を始めの厚さの75%のひずみ量まで押し込んだ後、同じ速さで加圧板を戻して、その時の履歴をグラフにする。当該グラフ(圧縮たわみ曲線)よりヒステリシスロス率を下記のとおり算出する。
圧縮たわみ曲線(例)
軟質ポリウレタンフォーム製品は他素材との複合あるいは特殊形状の裁断加工により、フォーム単独では得がたい特殊性能のクッションを得る事も出来、種々の製品が検討されているので、商品を購入する際には、軽く押してみるのも良いでしょう。
特殊形状裁断品(例)

以上のように低反発弾性フォームは他のプラスチックフォームや同類用途の繊維材(綿・フェルト類)等に比べて大きな特長が発揮できるので、自動車をはじめ家庭日用品や介護商品など様々な用途に使用され、現在も品質改良と用途拡大が続けられています。