HFCは、HCFCフロン全廃後の硬質ウレタンフォーム用発泡剤として考えられている次世代フロンで、「オゾン層を破壊しない」、「毒性が低く安全性が高い」、「断熱性に優れている」という特徴を有しています。日本ウレタン工業協会ではこの次世代HFCを発泡剤として使用した硬質ウレタンフォームによる断熱化住宅のLCA(ライフサイクルアセスメント)評価を行い、無断熱住宅の場合とのエネルギー消費の比較を行いました。
1.硬質ウレタンフォームの条件設定・データ算定方法
次世代HFC使用による現場発泡スプレー工法を採用した集合住宅(戸建住宅については現場発泡スプレー工法の採用が一般的ではないので評価せず)について無断熱住宅との比較を行いました。比較に際しての設定条件は次の通りです。
設定条件
・対象地域:札幌、盛岡、東京、鹿児島の4都市
・断熱条件:次世代エネルギー基準に基づく
・発泡剤使用量:断熱材重量の10%(ボード品、現場発泡スプレー品とも)
・断熱材の熱伝導率:0.028W/m・K
・断熱材密度:30kg/m3
・評価対象場所:「最上階西妻住戸」(熱負荷が最大)
・集合住宅の耐用年数:60年
・集合住宅におけるボード品と現場発泡スプレー品の使用部位
ボード品:屋根;スプレー品:壁、床、ボーダー
・次世代HFCのGWP:GWP=920
(HFC245fa/365mfc=1/1)
2.製造時のCO2排出量
製造時のCO2排出量は断熱材製造工程でのエネルギー投入量を算定し、そこからCO2排出量を計算しました。集合住宅に使用される硬質ウレタンフォーム断熱材はボード品と現場発泡スプレー品に分け、それぞれについて計算しました。この断熱材1kgあたりのCO2排出量と集合住宅に使用されたボード品及び現場発泡スプレー品の使用重量から、集合住宅の断熱材製造工程でのCO2排出量を算定しました。
3.住宅使用時のエネルギー消費削減量(CO2換算)
集合住宅の熱負荷計算は場所を「最上階西妻住戸」に設定し、断熱化住宅と無断熱住宅の熱負荷計算値をもとに年間熱負荷削減量を算出し、これから年間のエネルギー消費削減量及びCO2排出削減量を算定しました。これと住宅の耐用年数から、総CO2排出削減量を計算しました。
4.廃棄時の発泡剤の放出によるCO2換算排出量
硬質ウレタンフォーム断熱材に使用される発泡剤は、廃棄時にその全量が大気中に放出されると仮定してCO2換算排出量を計算しました。
5.まとめ
以上述べたような前提条件に基づき、硬質ウレタンフォーム断熱材使用時と無断熱時の使用エネルギーの差を整理し、省エネルギー効果によるCO2排出削減量を計算しました。結果を下表に示します。
硬質ウレタンフォームを断熱材として使用した場合、何れの地域においても、硬質ウレタンフォーム断熱化住宅は無断熱住宅に比べCO2排出量が少なく、顕著な地球温暖化防止効果が認められ、数値的には次の様な値が得られました。
| 札幌 | 盛岡 | 東京 | 鹿児島 | |||
| 製造時 | CO2排出量 | t-CO2 | 1.04 | 0.77 | 0.62 | 0.62 |
| 廃棄時 | CO2排出量 | t-CO2 | 35.89 | 26.83 | 21.53 | 21.53 |
| 使用時省エネ効果 | 総CO2削減量(60年) | t-CO2 | 162.97 | 137.84 | 61.43 | 43.10 |
| 総CO2削減効果(60年) | t-CO2 | 126.04 | 110.23 | 39.27 | 20.95 | |
| 単年度削減効果 | t-CO2/Y | 2.10 | 1.84 | 0.65 | 0.35 | |
総CO2削減効果(60年)=(使用時)削減量−(製造時+廃棄時)排出量
単年度削減効果=[総CO2削減効果(60年)÷60]
なお、さらにCO2削減効果を高めるべく、HFC使用削減の技術開発を推進しております。

