軟質ポリウレタンフォーム

Flexible polyurethane foam

よくある質問

Q & A

軟質ポリウレタンフォームとは(原料、性状、製造法、特長、用途など)

  • インターネット等でイソシアネート化合物が広く拡散しているような情報をみかけますが、どのようなものでしょうか?

    インターネット等で環境中に広く拡散しているとされるイソシアネート化合物は、主にイソシアン酸(HNCO)と言われるもので、ポリウレタン樹脂の原料として使用されているイソシアネート化合物とは無関係です。
    このイソシアン酸は、窒素(N)を含んだ物質が燃焼した際に少なからず発生するもので、火災や野焼きで発生する煙、タバコの煙、蛋白質を含む肉や魚を調理する際に発生する煙や自動車の排気ガスにも含まれているとの報告があります。

  • 軟質ポリウレタンフォームとはどのようなものですか?

    軟質ポリウレタンフォームはポリオールとポリイソシアネートを主成分として、発泡剤、整泡剤、触媒などを撹拌混合して発泡した軟質発泡材料で、ポリオールの構造によりポリエステルフォームとポリエーテルフォームに分けられ、10~60倍程度に発泡した連続気泡のセル構造を有した石油化学製品であります。
    ポリエステルフォームは耐油性や引張強さなどの機械的強度に優れ、ポリエーテルフォームは弾性が高く、クッション性能に優れるなどの特徴を有しております。また、ポリオールの種類や発泡剤量を変化させて、密度や硬さなどの一般物性を変化させることができ、種々の性能を付与することも可能であります。
    柔軟で感触が良く、自動車座席シート、椅子やマットレスなどのクッション材あるいは一般家庭における台所用スポンジタワシとして幅広く使われています。また、圧縮により容易に変形できるので、プロファイル加工、押し切り加工ができ、熱線加工などの加工方法も利用でき、特殊形状のマイク風防や凹凸模様のプロファイル加工品なども得ることができるので、他の軟質発泡材料では得がたい特徴を有しております。

  • 軟質ポリウレタンフォームは、どのようなところに使われていますか?

    軟質ウレタンフォームの用途は下記のようなものです。

    表 軟質ポリウレタンフォームの用途例

    分 類 用 途 例



    車両四輪 自動車・建築機械・鉄道車両等の座席用クッション、カバー生地ラミネート裏打ち材、ドアトリム・センタピラガーニッシュ等緩衝材、シーリング材、床天井等吸音・制振材
    二輪 サドル、エアフィルター、オイルフィルター、ヘルメット内張り、ライダークッション
    機器 各種吸音材、空調用フィルタ、液密・気密シール材、防音フローリング材
    家具 椅子、座イス、ソファー、置きクッション
    寝具 マットレス、掛け及び敷き布団、まくら、ベッドパッド
    インテリア 座布団、各種クッション、カーペット・マット類裏打ち、コタツ敷・掛け
    包装 精密機器用梱包材、食品・果物梱包材、鮮魚トレー敷き
    日用雑貨 キッチンクリーナー、ボディーソープ用クリーナー、靴磨クリーナー、洗車用クリーナー、オムツ用サイドギャザ−、靴(表皮材裏打ち、中敷き、インナブーツ)、スリッパ芯、縫いぐるみ等詰め物、化粧用パフ
    衣料用 肩・ブラジャー等のパッド、防寒材ライナー
    その他 育苗用・園芸用土壌、水耕栽培用資材、水処理用担体、フェンス衝撃吸収壁、運動用着地マット、マネキンボデイー、船舶椅子用クッション、遊具ボール、音響効果室吸音材、車椅子用クッション、保温・断熱材


    車両
    その他
    インストルメントパネル、アームレスト、ヘッドレスト、サンバイザ、ハンドル航空機用クッション・バック
  • ポリエーテルフォームとポリエステルフォームとはどんな違いがあるのですか?

    軟質ポリウレタンフォームは使用するポリオールの種類により、「ポリエーテルフォーム」と「ポリエステルフォーム」とに分けられます。
    一般に「ポリエーテルフォーム」は耐水性に優れ、クッション性に優れるので、自動車座席シート・マットレス・椅子などのクッション材として幅広く利用されています。また、「ポリエステルフォーム」は耐水性に劣り加水分解しやすい欠点がありますが、引張強さなどの機械的強度が高く、耐油性に優れ、セルコントロールも容易なので、ワックスクリーナーやフィルター材あるいは紙おむつエラスティックテープと言った用途分野にも利用されています。

  • 工場では軟質ポリウレタンフォームはどのような方法で製造するのですか?

    製造工場では「スラブ」又は「モールド」品の形で製造します。
    「スラブ」品は、コンベアーと連動したシート上に混合原液を流して発泡し、長さ2m程度の短尺ブロックあるいは60m程度の長尺ブロックに切り出します。通常、幅1〜2m、高さ0.3〜1mの断面が角状またはカマボコ状に連続発泡させた後、短尺ブロックは加工所にて種々の形状に裁断加工され、長尺ブロックはスライサーにて1~15mm厚にスライスして表皮材と張り合わせ、モールド品のシートクッションのカバー材などとして利用されます。
    また、「モールド」品はある種の製品形状をしたプラスチック又は金属製の型(モールド)内に原液を注入して発泡・硬化させた後、型から取り出して成形品とするもので、複雑な形状の製品でも寸法精度良く大量に成形することが可能な製造方法であります。

  • 軟質ポリウレタンフォームにはどのような特長がありますか?

    (1)要求に応じて、いろいろな物性や性能を付与することが可能です。
    ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤、整泡剤、触媒、あるいは必要に応じて着色剤、その他配合剤の組み合わせ、条件等を選択することにより、色々な用途に適した性能を付与することが可能です。すなわち、軽量で、クッション性、耐久性、衝撃吸収性、断熱性、耐熱性、耐薬品性、吸音性が良く、着色自由度が広い等の特長が発揮されます。さらに、軟質ポリウレタンフォームを自動車座席用シートに使用することで、軽量化による地球温暖化抑制効果を示しますし、健康指向に応じて抗菌性や体圧分散性を有した低反発弾性などの特徴ある性能を付与することが可能です。

    (2)いろいろな形状の裁断、成形加工ができます。
    軟質ポリウレタンフォームは平面や曲面あるいは、凹凸面やくり貫き加工等が容易にでき、薄いシート状から定形品まで所定形状に自在に加工でき、熱圧縮成形も可能です。また、自由なデザインと寸法精度を有した自動車部品等では、型内で発泡させる「モールド成形品」なども使用されています。

    (3)用途に応じていろいろな接着・一体加工方法が選択できます。
    軟質ポリウレタンフォーム同士の他、金属類、布、レザー等との縫製や接着加工などによる一体化が容易にできますが、フォーム表面部を火炎に瞬間的にさらして熔融させ、接着させる「フレームラミネート加工」は風合いがよく、生産性が良い加工方法であります。

    以上のように軟質ウレタンフォームは配合処方や裁断加工法により、他種プラスチック材とは異なる特長を有しており、自動車をはじめ日用家庭品から産業資材・工業資材・建築資材等などに幅広く使用されております。